A4の宇宙

数学と物理をA4ノートに収まる範囲で。

ln(x+1)のマクローリン展開と収束半径 その1

概要 基準点をとしたテイラー展開は特に有用なことがあり、マクローリン展開と呼ばれる。のマクローリン展開を用いて、収束半径の概念を説明する。 導出 を基準にしてのテイラー展開を行う。 を微分してを代入し、を求める。 まずである。 一階微分 \begin{e…

収束判定の例題

例題 を収束判定し、収束するならその値を求める。 この足し合わされる数列はでいきなり無限大に発散してしまうのでからの和とした。

調和級数の収束判定

の無限和、が収束するか考える。この無限和は調和級数と呼ばれる。 この数列は、明らかにを増加させるとだんだん小さくなっていくが、項を無限に足したら発散するかも知れない。 ダランベールの判定法 まずダランベールの判定法で収束するかを判定してみる。…

ダランベールの収束判定法

概要 ある数列を考えたとき、その級数(=無限和)は無限大に発散するのか、それともある値に収束するのかを確認したい。どうすればよいか? \begin{eqnarray}\sum_{k=1}^{\infty}a_n\end{eqnarray} 結論から言えば、数列が以下の条件を満たすとき、級数はどこ…

等躍度運動で分かるテイラー展開

テイラー展開の性質 無限回微分可能な任意の関数を、ある点の近傍では下記のようなべき級数で表してよい。これをテイラー展開と呼ぶ。 \begin{eqnarray}f(x)&=&f(a)+f'(a)(x-a)+\frac{1}{2!} f''(a)(x-a)^2+\frac{1}{3!}f'''(a)(x-a)^3+\cdots\\&=& \sum_{k=…

等躍度運動

等加速度運動 以前、空気抵抗を無視した自由落下運動、すなわち等加速度運動について書いた。 例えば宇宙空間でロケットを操縦しているとき、フットペダルを一定量踏めば、ブースターが一定の推力を発揮し、ロケットはすなわちの加速度で等加速度運動するだ…

三平方の定理の証明

三平方の定理(ピタゴラスの定理)を証明する。 すなわち、上図のような直角三角形を考えたとき、 \begin{equation}a^2+b^2=c^2\end{equation} が成り立つことを示す。 証明 合同な直角三角形を下図のように4つ配置した場合を考える。 ここで大きな四角形は、…

自由落下運動 - 空気抵抗有無の比較2

特殊解(再掲) 前回計算した速度と位置の特殊解(で)を再度書く。 ここでは落下物の速度、は位置、は重力加速度、は時間、は空気抵抗係数、は落下物の質量、は任意定数である。いずれも上方向(重力と逆方向)をとしていることに注意。 空気抵抗なし 速度 \begin…

自由落下運動 - 空気抵抗有無の比較1

これまでに導いた空気抵抗無しと有りの2つの自由落下運動を比較してみよう。導いた一般解を再度書き出す。 ここでは落下物の速度、は位置、は重力加速度、は時間、は空気抵抗係数、は落下物の質量、は任意定数である。いずれも上方向(重力と逆方向)をとして…

自由落下運動 空気抵抗あり2

速度の一般解(再掲) 前回、空気抵抗があるときの自由落下速度の一般解を求めた。 \begin{equation}v=C_1\exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}-\frac{mg}{k}\end{equation} ここでは任意定数、は空気抵抗係数、は時間、は落下する物体の質量、は重力加速度であっ…

自由落下運動 空気抵抗あり1

物体が落下する時、どのような速度でどのような軌道をたどるかを微分方程式から導く。空気抵抗なしバージョンは以前やったので、今回はありバージョンを計算する。 まずは運動方程式を書く。物体の質量を、物体の加速度を、物体に働く力をとおく。 \begin{eq…

自由落下運動を微分方程式で解く

物体が落下する時、どのような速度でどのような軌道をたどるかを微分方程式から導く。今回は空気抵抗を無視することにする。 まずは運動方程式を書く。物体の質量を、物体の加速度を、物体に働く力をとおく。 \begin{eqnarray}ma=f\end{eqnarray} 物体には重…

ヒポクラテスの定理

問題 図のように、直角三角形ABC、辺ABを直径とする半円、辺BCを直径とする半円、辺CAを直径とする半円がある。図の青い領域の面積はいくつか? 回答 ⊿ABCの面積と3つの半円の面積を計算する。 \begin{eqnarray}S_1&=&\frac{CA \times BC}{2}\\S_2&=&\frac{1…

タレスの定理の逆

タレスの定理の逆を証明する。 すなわち、∠Cを直角とする直角三角形ABCと、頂点ABCを通る円を考えるとき、図のように辺ABが円の直径になることを示す。 証明 辺ABの中点をPとし、点Pから∠Cに補助線を引く。 PCと平行に点Aから新たな補助線を引く。辺BCを延長…

タレスの定理

タレスの定理を証明する。 すなわち、図のような「直径ABに対する円周角∠C」が常に直角になることを示す。 円の中心Oから直角Cに対して補助線を引いた。 この時、辺OA、OB、そしてOCは全て半径なので同じ長さである。 そのため、△AOCと△BOCはそれぞれ二等辺…

薄い球殻の体積と直方体の体積

薄い球殻の体積を求めたい。 球殻は、中心を同じくする大きい球と小さい球とに挟まれた領域と言えるので、大きい球の半径を、小さい球の半径をとすると、体積は以下の式で表せる。 \begin{equation}V=\frac{4}{3}\pi (r+dr)^3-\frac{4}{3}\pi r^3\end{equati…

細い輪の面積と長方形の面積

細い輪の面積を求めたい。 輪は、中心を同じくする大きい円と小さい円とに挟まれた領域と言えるので、大きい円の半径を、小さい円の半径をとすると、面積は以下の式で表せる。 \begin{equation}S=\pi (r+dr)^2-\pi r^2\end{equation} 式を展開する。 \begin{…

指数関数の微分

指数関数を、変数で微分したい。微分の定義に従って代入する。 \begin{equation}y'=\lim_{h \to 0}\frac{a^{x+h}-a^x}{h}\end{equation} ここから指数関数の性質を用いて式を変形していく。まず右辺をで括る。 \begin{eqnarray}y'&=&\lim_{h \to 0}\frac{a^{…

ガチャ大爆死とネイピア数の関係

連ガチャ大爆死の確率 当たる確率1%の100連ガチャの爆死率 について以前書いた。では、当たる確率0.1%の1000連ガチャや、当たる確率0.01%の10000連ガチャの爆死率はどうなるだろうか?エクセルで計算してみる。 当たる確率1%の100連ガチャ \begin{equation}0…

対数関数の微分

対数関数を、変数で微分したい。微分の定義に従って代入する。 \begin{equation}y'=\lim_{h \to 0} \frac{\log_{a} {(x+h)}-\log_a x}{h}\end{equation} ここから対数関数の性質を用いて式を変形していく。 \begin{eqnarray}y'&=&\lim_{h \to 0} \frac{\log_…

100連ガチャ爆死の確率

ガチャ ☆5(当たり)が1%の確率で排出されるガチャを100連で回す。まあを100回引くんだから大体当たるだろう。 本当にそうだろうか?もしガチャでなくて100枚のクジならば、外れるたびに外れが減っていくので100回引けば1枚は必ず当たりである。しかしガチャで…

三項漸化式 特性方程式の解が複素数の場合

例題 以下の漸化式を特性方程式を用いて解き、を閉じた式で表す。 \begin{eqnarray}a_{n+2}&=&2a_{n+1}-2a_n\\a_0&=&3\\a_1&=&5\end{eqnarray}特性方程式は以下の形になる。 \begin{eqnarray}x^2-2x+2=0\end{eqnarray} 2次関数の解の公式を用いて特性方程式…

フィボナッチ数列の一般項

以下の漸化式で表される数列をフィボナッチ数列と呼ぶ。特性方程式を用いて、フィボナッチ数列の一般項を求める。 \begin{eqnarray}F_{n+2}&=&F_{n+1}+F_{n}\\F_0&=&0\\F_1&=&1\\\end{eqnarray} この漸化式の特性方程式を作るととなる。因数分解は容易でない…

三項漸化式 特性方程式が重解を持つ場合

特性方程式とは何か? a4.hateblo.jp こちらを参照 特性方程式が重解を持つ場合 特性方程式が重解を持つ場合等比数列の式が一つしかないので、差を取ってを削除する手法は使えない。 これを別の方法で解く。まず特性方程式の解を両方ともと書く。 \begin{eqn…

三項漸化式 - 特性方程式が2つの解を持つ場合

特性方程式とは何か? こちらを参照。 解がの場合 式(2)と式(3)の漸化式を等比数列に変形する。初項と次の項をそれぞれとした。 \begin{eqnarray}a_{n+1} -p a_{n} &=& q^n(a_{1} -p a_{0}) \tag{4}\\a_{n+1} -q a_{n} &=& p^n(a_{1} -q a_{0}) \tag{5}\end{…

三項漸化式の特性方程式

以下のような形の三項間漸化式を解く。すなわち一般項を閉じた形で表す。 \begin{equation}a_{n+2} = ba_{n+1}+ca_n \tag{1}\end{equation} そのために式(1)を変形し、以下のような形にしたい。 \begin{equation}a_{n+2} -p a_{n+1} = q(a_{n+1}-p a_n) \tag…

等比数列の和

等比数列 等比数列の一般項は、初項を、公比をとして、 \begin{equation} a_n=r^na_0 \end{equation} と表せる。 (与えられた初項がだったらで割ってを作っておこう。が初項だとの指数がになって面倒なので) 等比数列の和 この数列をからまで足した値はいく…

隣接2項による漸化式

簡単な漸化式 数列の一般項が、やなどの別の項の関数として表されている式を漸化式と呼ぶ。もしある漸化式が、 \begin{equation}a_{n+1}=a_{n}+d\end{equation} の形で表せる場合、この数列は明らかに公差の等差数列である。 また、ある漸化式が \begin{equa…

等差数列の和

等差数列 等差数列の一般項は、を初項、を公差として、\begin{equation}a_n=a_0+nd\end{equation} の形で表せる。 (与えられた初項がだったらを引いてを作っておこう。が初項だとの係数がになって面倒なので) 等差数列の和 この数列をからまで足した値はいく…

2次方程式の解の公式

概要 以下の関係を満たす\( x \)を定数\( a,b,c \)で表す。すなわち、2次方程式の解の公式を導く。 \begin{eqnarray}ax^2+bx+c=0\end{eqnarray} 導出 \( a \neq 0 \)として、両辺を\( a \)で割る。 \[ \begin{eqnarray}x^2+\frac{b}{a}x+\frac{c}{a}=0\end{e…