A4の宇宙

数学と物理をA4ノートに収まる範囲で。

隣接2項による漸化式

簡単な漸化式

数列の一般項a_nが、 a_{n-1} a_{n+1}などの別の項の関数として表されている式を漸化式と呼ぶ。もしある漸化式が、

\begin{equation}
a_{n+1}=a_{n}+d
\end{equation}

の形で表せる場合、この数列は明らかに公差dの等差数列である。

 

また、ある漸化式が

\begin{equation}
a_{n+1}=ra_n
\end{equation}

の形で表せる場合、この数列は明らかに公比r等比数列である。

 

 隣接2項漸化式

では、漸化式が

 a_{n+1}=ba_{n}+c \tag{1}

で表される場合はどうなるか?すぐには解けないこのような問題を、上記の簡単な漸化式に帰着させ、一般項a_nを求めるのが漸化式の解法である。

 

この漸化式を
 a_{n+1}-x=p(a_n-x) \tag{2}

の形に出来れば、新たな数列a_n-xは公比p等比数列になるので、式(1)をこの形に変形して、xの値を調べる。

 

 特性方程式

そのために、まず目標となる式(2)を展開する。

\begin{equation}
a_{n+1}-x=p a_n-px
\end{equation}

 

さらに左辺の -xを右辺に移項する。

\begin{equation}
a_{n+1}=p a_n+x-px \tag{2'}
\end{equation}

 

これで式(1)と式(2')が同形になったので係数と定数項をそれぞれ比較する。

\begin{eqnarray}
b&=&p\\
c&=&x-px \tag{3}
\end{eqnarray}

式(3)中のpbを代入して移項する。

\begin{equation}
x=bx+c \tag{4}
\end{equation}

bcは既知なので、この方程式をxについて解けばよい。

 

この式(4)をこの漸化式の特性方程式と呼ぶ。元の漸化式のa_{n+1}a_nxに置き換えた形である。この方程式の解xを、もとの漸化式の両辺から引くことで、2項間漸化式を等比数列に変換できる。

 

例題

漸化式

\begin{eqnarray}
a_0&=&1\\
a_{n+1}&=&5a_n+8 \tag{5}
\end{eqnarray}

で与えられる数列の一般項a_nを求めよ。

 

特性方程式x=5x+8となるので、移項して-4x=8、両辺を-4で割ってx=-2と解ける。式(5)の両辺から-2を引いて、

 a_{n+1}+2=5a_n+10

 a_{n+1}+2=5(a_n+2)

数列 a_n+2は初項1+2=3、公比5の等比数列であるため、a_n+2=3\cdot5^nと表せ、目的の一般項a_n\underline{a_n=3\cdot5^n-2}と表される。