A4の宇宙

数学と物理をA4ノートに収まる範囲で。

等躍度運動

等加速度運動

以前、空気抵抗を無視した自由落下運動、すなわち等加速度運動について書いた。

 

例えば宇宙空間でロケットを操縦しているとき、フットペダルを一定量踏めば、ブースターが一定の推力fを発揮し、ロケットはf=maすなわちa=\frac{f}{m}の加速度で等加速度運動するだろう。

 

等躍度運動

しかし、実際にはフットペダルをいきなり一定量踏むのではなく、徐々に踏み込んでいくことになる。その間、推力fは増加していくので加速度aも一定にはならず、やはり一定の変化率で増加していく。

 

加速度aが一定の割合で時間変化していく様子を微分方程式で表す。この比例定数、すなわち加速度の時間変化率躍度(jerk)と言い、jと書く。

\begin{equation}
\dot{a}=j
\end{equation}

  

両辺を時間t積分していくと、速度vや位置xを求めることができる

 

加速度aを求める。

\begin{eqnarray}
\int \dot{a} dt&=&\int j dt\\
a &=& j t+C_1 \tag{1}
\end{eqnarray}

 

速度vを求める。

\begin{eqnarray}
\int a dt&=&\int (j t+C_1) dt\\
v &=& \frac{1}{2}j t^2+C_1t+C_2 \tag{2}
\end{eqnarray}

 

位置xを求める。

\begin{eqnarray}
\int v dt&=&\int \frac{1}{2}j t^2+C_1t+C_2 dt\\
x &=& \frac{1}{6}j t^3+\frac{1}{2}C_1t^2+C_2t+C_3 \tag{3}
\end{eqnarray}

微分方程式を解いて位置xが求められた。

 

式の分析

式(1), (2), (3)にそれぞれt=0を代入することにより、任意定数C_1C_2C_3がそれぞれt=0の時のa, v, xを表すことが分かる。分かりやすいようにC_1=a_0C_2=v_0C_3=x_0と書き直す。

\begin{eqnarray}
x &=& \underline{\frac{1}{6}j t^3}+ \underline{\frac{1}{2}a_0t^2+v_0t+x_0}
\end{eqnarray}

 

右辺第2項から第4項は等加速度運動と全く同じで、新たに \displaystyle \frac{1}{6}jt^3を加えた形になっている。これは等速運動と等加速度運動の関係と同様である。

 

これは積分のたびに、係数がtの指数で割られ、分母に1\times2\times3という積が出来ているためである。すなわち \displaystyle \frac{1}{6}=\frac{1}{3!}を意味する。

 

\begin{eqnarray}
x &=& \frac{1}{3!}j t^3+ \frac{1}{2!}a_0t^2+\frac{1}{1!}v_0t+\frac{1}{0!}x_0\\
&=&\sum_{k=0}^3 \frac{C_k}{k!}t^k
\end{eqnarray}

t^n項の比例定数を数列 C_nで表すと、等躍度運動の位置の式はこのように短く書ける。この時 \Sigma記号の便宜的に、先ほどまでとはC_nの次数対応が変わっていることに注意。