A4の宇宙

数学と物理をA4ノートに収まる範囲で。

ln(x+1)のマクローリン展開と収束半径 その2

概要

前回に続いて、\ln{(x+1)}マクローリン展開(x=0を基準としたテイラー展開)を計算する。

 

f(x)=\ln{(x+1)}マクローリン展開すると以下のようなべき級数で表せることを前回示した。

\begin{eqnarray}
f(x)&=&x-\frac{1}{2}x^2+\frac{1}{3}x^3-\frac{1}{4}x^4+\cdots\\
&=&\sum_{n=1}^{\infty}  \frac{(-1)^{n-1}}{n}x^n
\end{eqnarray}

 

収束半径の導出

\ln{(x+1)}マクローリン展開したべき級数収束半径を導出する。

 

 \displaystyle a_n=\frac{(-1)^{n-1}}{n} \displaystyle a_{n+1}=\frac{(-1)^n}{n+1}であるので、判定式は以下のように書ける。

\begin{eqnarray} \require{cancel}
\lim_{n \to \infty} \frac{|a_{n+1}|}{|{a_n}|}&=&\lim_{n \to \infty} \frac{ \left| \frac{(-1)^n}{n+1} \right|}{ \left| \frac{(-1)^{n-1}}{n} \right|}\\
&=&\lim_{n \to \infty} \left| \frac{(-1)^n n }{ (-1)^{n-1} (n+1) }\right| \\
&=&\lim_{n \to \infty} \left| \frac{ (-1)^\cancel{n} n }{ \cancel{(-1)^{n-1}} (n+1) }\right|\\
&=&\lim_{n \to \infty} \left| \frac{ -1 }{ \left(1+\frac{1}{n} \right) }\right|\\
&=& |-1|\\
&=& 1
\end{eqnarray}

 

すなわち、判定値L=1であり、べき級数\displaystyle f(x)=\sum_{n=1}^{\infty}  \frac{(-1)^{n-1}}{n}x^nの収束半径は \displaystyle \frac{1}{L}=\frac{1}{1}=1である。

 

この結果はべき級数を実際にプロットした結果とも整合していることが分かる。

f:id:dai-ig:20190108220231j:plain

 

収束半径ちょうどの時

x=1x=-1ちょうどの時に収束するか判定する。

 

x=1の時、べき級数は以下のようになる。

\begin{eqnarray}
f(1)&=&1-\frac{1}{2}+\frac{1}{3}-\frac{1}{4}+\cdots
\end{eqnarray}

これは交代調和級数であり、 f(1)=\ln2に収束する。

 

x=-1の時、べき級数は以下のようになる。

\begin{eqnarray}
f(-1)&=&-1-\frac{1}{2}-\frac{1}{3}-\frac{1}{4}-\cdots
\end{eqnarray}

これは全体にマイナスが付いた調和級数であるので、 f(-1)=-\inftyに発散する。

 

すなわち、\ln(x+1)マクローリン展開した際の収束するxの範囲は、 -1 \lt x \leq 1であることが分かった。

 

(しかし \ln(x+1)x=-1を代入しても同様に-\inftyに発散するのだから、別にx=-1を近似可能な領域に含めてもよい気もする)