xが0に近い時のsin xの性質 マクローリン展開を用いる方法
導出
以前導出したのマクローリン展開を書き下す。このマクローリン展開は無限の収束半径を持ち、本質的に
と等しいのであった。
\begin{eqnarray} \sin x = x-\frac{1}{3!}x^3+\frac{1}{5!}x^5-\frac{1}{7!}x^7+\cdots \end{eqnarray}
として両辺を
で割る。
\begin{eqnarray} \frac{\sin x}{x} = 1-\frac{1}{3!}x^2+\frac{1}{5!}x^4-\frac{1}{7!}x^6+\cdots \end{eqnarray}
両辺のを取る。
\begin{eqnarray} \require{cancel} \lim_{x \to 0}\frac{\sin x}{x} &=& \lim_{x \to 0} \left( 1-\frac{1}{3!}x^2+\frac{1}{5!}x^4-\frac{1}{7!}x^6+\cdots \right) \newline &=&\lim_{x \to 0} \left( 1-\cancel{\frac{1}{3!}x^2}+\cancel{\frac{1}{5!}x^4}-\cancel{\frac{1}{7!}x^6}+\cancel{\cdots} \right) \newline &=&1 \end{eqnarray}
すなわち、が
にとても近い時、
は
に収束する。
しかし、ちょうどの時は、分母と分子が両方とも
になってしまって
の値が定まらず、成り立たないことに注意。
この計算に意味あるの?
この計算は、三角関数の微分に必要な知識を導出するためのものである。
しかしよく考えるとをマクローリン展開する時点ですでに三角関数の微分を使用してしまっているので、循環論法になってしまって意味がない。
そのため多くの場合、扇形の面積や弧の長さを用いた幾何的な手法でを導出する。
しかしながら、幾何的な導出こそが循環論法であるとする流派もある。(円の面積をちゃんと計算するために積分が必要だから、そこでを使わないといけないよ派)
その流派では、は図形と無関係にマクローリン展開形式で定義されることになる。(これは導出ではなく定義なので、三角関数の微分は必要ないという理屈)
\begin{eqnarray}
\sin x = x-\frac{1}{3!}x^3+\frac{1}{5!}x^5-\frac{1}{7!}x^7+\cdots
\end{eqnarray}
この場合、最初にを知ることができるのは今回の手法になるのである。