マクスウェル方程式を導く準備
マクスウェル方程式とは
電磁気に関する実験的事実をスタートとして、論理的考察(電場と磁場)を加え、微分方程式で表したもの。
4つの実験的事実が4つの方程式で表される。マクスウェル方程式を解くことで、電磁波の存在や、光もまた電磁波であることなどの重要な事実が導かれる。
実験的事実
マクスウェル以前に実験で確かめられた4つの法則。
1. 電荷のクーロンの法則
2. 電磁誘導の法則
- 電線に磁石を近づけたり遠ざけたりすると電線の両端に電位差が発生する
- 発生する電位差は、磁石を動かす速度に比例する
- 発生する電位差の向きは、アンペールの法則で磁力の変動を妨げる方向になる
3. 磁荷のクーロンの法則
- 磁荷にはN(+)とS(-)の2種類が存在する
- 磁荷が同じ符号だと斥力、違う符号だと引力を持つ
- 引力と斥力はどちらも、磁荷の量に比例し、距離の2乗に反比例する
- 単磁極は存在せず、磁石は必ずN極とS局のペアで存在する
4. アンペールの法則
- 電線に電流を流すと、周囲に磁力が発生する
- 磁力の強さは、電流に比例し、電線からの距離に反比例する。
- 発生する磁力の向きは右ねじの法則にしたがう
論理的考察
実験的事実を解釈する際に想像されたもの。
電場
磁場
- 磁荷に対して力を及ぼす空間のこと
- 磁荷や電流によって発生する
電場と磁場の実在性
電場と磁場が「計算上便利だから導入された想像上の物なのか?それとも本当に存在するものなのか?」は電磁気学にとって重要な問題である。マクスウェル方程式を解くことにより、電場と磁場の実在が確かめられる。
マクスウェル方程式の二つの記法
マクスウェル方程式には「積分形」と「微分形」の2つの記法があり、「微分形」の方が有名。
積分形までは上記事実と論理的考察のみでたどり着くことができるが、微分形は積分形に対して純粋に数学的な書き換えを行わなければ得られない。