民主主義は三択に弱い
背景
最近ブレグジット問題がアツい。イギリスがEU離脱を決定したものの、その離脱プロセスが決まらず、締め切りだけが迫っている状況なのだ。
締め切りが来ると何も決まってないのに強制的にEU離脱となって大混乱を招くという。一体何故こんなことになってしまったのだろうか。
以下、モデル化してブレグジット投票の流れを追う。
イギリスの有権者3パターン
大体以下の3パターンに分かれている。
支持率の数値は適当なので注意。モデル化上、重要な所は以下の2点にある。
また国民投票と議員による投票があるのだが区別していない。
投票
1回目
「イギリスはEUから離脱することにしますか?」
- EU残留派 40%「No!」
- ソフト離脱派30%「Yes!」
- ハード離脱派30%「Yes!」
離脱賛成60%で過半数。離脱が決定した。次は具体的な方針を決めよう。
2回目
「EUと妥協点を探って離脱する計画を作りました。でもEUの影響は残るかも…これで良い?」
- EU残留派 40%「離脱したくないからNo!」
- ソフト離脱派30%「Yes!」
- ハード離脱派30%「手緩いからNo!」
反対70%で過半数。ソフトブレグジットしないことが決定した。
3回目
「じゃあ問答無用で離脱することにする?」
- EU残留派 40%「離脱しないって言ってるだろ!No!」
- ソフト離脱派30%「無茶苦茶すぎるだろ!No!」
- ハード離脱派30%「Yes!」
反対70%で過半数。ハードブレグジットしないことが決定した。
4回目
「分かった。ホントは離脱したくなかったんだろ?国民投票をもう一度やろう?」
- EU残留派 40%「それだ!Yes!」
- ソフト離脱派30%「No!」
- ハード離脱派30%「No!」
反対60%で過半数。再投票しないことが決定した。
なぜこんなことに…
つまり3択で、自分の意見とぴったりでないとNo投票する、というルールで投票を行うと、全て否決されてしまって永遠に何の結論も出なくなってしまう。
また、今回は3パターンの別れかたが、「強賛成」「弱賛成」「反対」だったことが問題を危険にしている。「賛成派」自体は過半数を超えているので、取り消すこともできずに時間だけが過ぎてしまったのだ。
日本の場合
例えば大阪都構想はこれと近い動きをしているが、層の別れ方が異なったのでセーフだった。
- 「維新の会も大阪都構想も好き」30%
- 「維新の会は好きだけど都構想は嫌」30%
- 「維新の会も都構想も嫌」40%
の三層がいるので、
維新の会が選挙で勝つ!
↓
大阪都構想や!
↓
アカン!票が足らん!これは解散しかない…
↓
解散後の選挙でまた維新の会が勝つ!
↓
これは大阪都構想待ったなしや!
の繰り返しが発生してしまう。維新の会は普通に人気があるので、都構想投票に失敗した後も選挙で勝ってしまうのだった。
しかしこれは都構想賛成派が過半数いないため、つまり「賛成」「弱反対」「強反対」に分かれたため、グルグル回るだけでイギリスみたいな決定的な問題にはならなかった。
最後はどうするのか?
メイ首相(ソフト離脱派)は「相手の思うツボですよ作戦」を取っていくのではないか?
残留派には「時間切れになったら結局ハードブレグジットになっちゃいますよ?」
ハード離脱派には「このままモタモタしてたら離脱延期しかないですよ。その間に流れが変わって再投票になったりするかも?」
と脅しをかけて、ソフト離脱派プランに同意するようプッシュするという作戦なのでは。
これがうまく行くかはもう政治家の力量と妥協の世界なのでどうなるのかは俺程度では分からないのだった。(ゲーム理論とかにあるのかも知れないけど)