コロナの抑止には自粛が何割必要か
概要
新型コロナウィルスCOVID19の発生に伴い、国内でも外出禁止要請が出されている。人と人との濃厚接触を8割減らせばコロナの蔓延を防げるというが、人の外出も8割減らす必要があるのだろうか?接触の回数を式で表し、人の外出を55%減らせば目的を達成できることを導く。
導出
濃厚接触のモデル化
濃厚接触の回数を式で表したい。そのために色々な数値を文字で表し、単純なモデルを構築する。
まず人間一人ひとりの間隔が、ある値より近づくことを「濃厚接触」と定義する。これは図のように、自分の周りに半径の円を考えて、その内側に他人が入ることとみなすことができる。
ある人が街を歩く様子は次の図のように表される。赤い点が注目する人を表す。この人が街を速度で歩き回ると考え、他の人が点線の円で表された領域に入って出たとき濃厚接触を一回したとみなすのである。この時、点線の円の縦幅や、中間的な横幅には意味がなく、横幅の最大値だけで濃厚接触の有無が決まることが分かる。移動したときに濃厚接触が起こる領域を灰色で示した。
平均自由行程
まず、ある人間一人がどれぐらい他の人と接触するかを考えるため、「他人と接触せずに、平均してどれぐらい長く歩けるか」(=平均自由行程)を計算する。
人が歩く間に、占有する面積の合計は図のようにで表される。
上に記した平均自由行程の定義より、この占有面積の中に、他人が平均して一人いることになる。その時の人口密度は以下のように定式化される。
\begin{eqnarray}
n&=&\frac{1}{2r \lambda}\\
\lambda&=&\frac{1}{2rn} \tag{1}
\end{eqnarray}
式変形よりが人口密度の関数として表された。
人が出歩く町の面積を、出歩く人の数をとすれば、人口密度はと表せる。これを式に代入する。
\begin{eqnarray}
\lambda&=&\frac{1}{2rn}\\
\lambda&=&\frac{1}{2r\frac{m}{S}}\\
\lambda&=&\frac{S}{2rm}\\
\end{eqnarray}
式変形により、平均自由行程が求められた。
濃厚接触の総数
次に濃厚接触せずに出歩ける平均時間を求める。これはをで割って求めることができる。
平均してに1回濃厚接触するので、濃厚接触頻度はの逆数となる。
ここで、町をぶらつく時間を考えると、ある人物一人の濃厚接触回数は以下のように表される。
\begin{eqnarray}
i=\nu t=\frac{2rmvt}{S}
\end{eqnarray}
i_\mathrm{{total}}=\frac{mi}{2}=\frac{rm^2vt}{S}
\end{eqnarray}
\frac{\frac{rm_2^2vt}{S}}{\frac{rm_1^2vt}{S}}&=&0.2\\
\left(\frac{m_2}{m_1}\right)^2&=&0.2\\
\frac{m_2}{m_1}&=&\sqrt{0.2}\\
\frac{m_2}{m_1}&=&0.447 \cdots\\
\end{eqnarray}