A4の宇宙

数学と物理をA4ノートに収まる範囲で。

2020-01-01から1年間の記事一覧

電子の平均自由行程

概要 動き回る物体が、別の物体と2回衝突する間に平均して進める距離のことを平均自由行程と呼ぶ。前回、濃厚接触の発生回数を人間の2次元平均自由行程から導いた。 多くの場合、平均自由行程は3次元空間と粒子で考えられ、飛行する粒子の平均自由行程は、気…

コロナの抑止には自粛が何割必要か

概要 新型コロナウィルスCOVID19の発生に伴い、国内でも外出禁止要請が出されている。人と人との濃厚接触を8割減らせばコロナの蔓延を防げるというが、人の外出も8割減らす必要があるのだろうか?接触の回数を式で表し、人の外出を55%減らせば目的を達成でき…

運動エネルギーの定義が(1/2)mv^2なのはなぜか

概要 運動エネルギーは以下のように定義されている。 \begin{eqnarray}K=\frac{1}{2}mv^2\end{eqnarray} この式はある物体の運動エネルギーが、その質量と速度の2乗に比例することを表す。しかし、係数としてが掛かっている。を運動エネルギーの定義としなか…

指数の基数を変換する

概要 のような指数関数があるとき、基数を好きな数に変換したいことがしばしばある。 一例として、任意の基数を持つ指数関数を微分するために基数をネイピア数に変換したり、逆に変数分離法の微分方程式の解として現れたを目的の基数を持つ指数関数に変換し…

対数の底を変換する

概要 のような対数関数があるとき、底を好きな数に変換したいことがしばしばある。 一例として、任意の底を持つ対数関数を微分するために底をに変換したり、逆にを積分するなどして現れた自然対数を目的の底を持つ対数に変換したりすることが挙げられる。こ…

半減期を微分方程式で表す その2

概要 前回、放射性物質の個数を表す微分方程式を導いた。微分方程式を解いて放射性物質が減っていく様子を式で表す。 式 解きたい微分方程式をもう一度書く。 \begin{eqnarray}\frac{dN(t)}{dt}=-\lambda N(t)\end{eqnarray} 変数分離法で解く。として、両辺…

半減期を微分方程式で表す その1

概要 放射性原子が崩壊して残りの個数が減っていく様子を微分方程式から導き、半減期の概念を理解する。今回は解きたい微分方程式を作るところまで説明する。 考え方 放射性原子は全ての時刻でランダムに一定確率で崩壊する、この「一定確率で減っていく」こ…

C14年代測定を式で表す

概要 土中から発掘された遺跡や化石が何年前のものなのか分析するための手法、年代測定を式で示す。 原理 炭素の放射性同位体は宇宙線により毎年生産され、同時にβ崩壊により毎年消滅している。これらの平衡により地球上の炭素原子に占めるの割合はに保たれ…

バーゼル問題

概要 次ゼータ関数の収束判定を行いたい。これまでには無限大に発散し、は2よりも小さい数に収束することを示してきた。 が実際いくつに収束するのかを求める。以下にを書き下しておく。 \begin{eqnarray} \zeta(2)&=&\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{k^2}\ &=&…

マクスウェル方程式を導く準備

マクスウェル方程式とは 電磁気に関する実験的事実をスタートとして、論理的考察(電場と磁場)を加え、微分方程式で表したもの。 4つの実験的事実が4つの方程式で表される。マクスウェル方程式を解くことで、電磁波の存在や、光もまた電磁波であることなどの…