A4の宇宙

数学と物理をA4ノートに収まる範囲で。

自由落下運動 空気抵抗あり2

速度vの一般解(再掲)

前回、空気抵抗があるときの自由落下速度の一般解を求めた。

\begin{equation}
v=C_1\exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}-\frac{mg}{k}
\end{equation}

ここでC_1は任意定数、kは空気抵抗係数、tは時間、mは落下する物体の質量、gは重力加速度であった。

 

位置xの一般解

速度の一般解の両辺をtでさらに積分し、位置の一般解を求めることができる。

\begin{eqnarray}
\int v dt&=&\int C_1\exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}dt-\int \frac{mg}{k} dt\\
x&=&-\frac{mC_1}{k}\exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}-\frac{mg}{k}t+C_2\\
\end{eqnarray}

vの計算で現れていた任意定数C_1は、特殊解の計算に使用するのでまとめないでおく。C_2も任意定数である。こちらもtが大きくなると右辺第1項は非常に小さくなり、第2項が支配的となる。その結果、等速直線運動に漸近していく。

 

空気抵抗係数kの具体的な値

kがどれぐらいの数値になるのかを調べてみよう。kは落下する物体の断面積に比例するはずなので、落下する物体のサイズによって全く異なる値になることに注意。

 

今回は人体で計算してみる。この記事によれば、スカイダイビングの最高速度は時速180 kmに達する。これは終端速度 \displaystyle \frac{mg}{k}が180 km/hrに等しいということである。

 

まず180 km/hrをSI単位系[m/sec]に変換する。

\begin{eqnarray}
180 \ \rm{km/hr} &=& 180,000 \ \rm{m/hr}\\
&=&\frac{180,000}{60\times60} \ \rm{m/sec}\\
&=&\frac{180,000}{3,600} \ \rm{m/sec}\\
&=& 50 \ \rm{m/sec}
\end{eqnarray}

 

 \displaystyle v=\frac{mg}{k}に代入する。 g=10 \ \rm{ms^{-2}}とした。また、落下物は人体なのでm=60 \ \rm{kg}とした。

\begin{eqnarray}
v&=&\frac{mg}{k}\\
50&=&\frac{60\times10}{k}\\
k&=&\frac{600}{50}\\
k&=&\underline{12}
\end{eqnarray}

kの値が求められた。

 

また、kは力[\rm{N}]を速度[\rm{m/sec}]で割ったものなので、kの次元は[\rm{N \cdot sec/m}]となる。