A4の宇宙

数学と物理をA4ノートに収まる範囲で。

自由落下運動 - 空気抵抗有無の比較1

これまでに導いた空気抵抗無しの2つの自由落下運動を比較してみよう。導いた一般解を再度書き出す。

 

ここでvは落下物の速度、xは位置、gは重力加速度、tは時間、kは空気抵抗係数、mは落下物の質量、v_0, x_0, C_1, C_2は任意定数である。いずれも上方向(重力mgと逆方向)を+としていることに注意。

 

空気抵抗なしの自由落下

一般解

前回求めた一般解を再掲する。

 

速度

\begin{eqnarray}
v=-gt+v_0 \tag{1}
\end{eqnarray}

 

位置

\begin{eqnarray}
x=-\frac{1}{2}gt^2+v_0t+x_0 \tag{2}
\end{eqnarray}

 

 

特殊解

初期値を代入して特殊解を作る。

 

今回はt=0において、基準点から静かに落下させたとする。すなわち初期値はt=0v=0, x=0になる。

 

空気抵抗なしの場合、式(1)よりv_0=0、式(2)より x_0=0である。

 

速度

\begin{eqnarray}
v=-gt
\end{eqnarray}

 

位置

\begin{eqnarray}
x=-\frac{1}{2}gt^2
\end{eqnarray}

 

 

空気抵抗ありの自由落下

一般解

前回求めた一般解を再掲する。

 

速度

\begin{equation}
v=C_1\exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}-\frac{mg}{k} \tag{3}
\end{equation}

 

位置

\begin{eqnarray}
x&=&-\frac{mC_1}{k}\exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}-\frac{mg}{k}t+C_2 \tag{4}
\end{eqnarray}

 

特殊解

同様に、初期値をt=0v=0, x=0として任意定数を定める。

 

任意定数の計算

式(3)にt=0, v=0を代入して、

\begin{eqnarray}
v&=&C_1\exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}-\frac{mg}{k} \tag{3}\\
0&=&C_1\exp(0)-\frac{mg}{k}\\
C_1&=&\frac{mg}{k}
\end{eqnarray}

 

式(4)にt=0, x=0, C_1=\frac{mg}{k}を代入して、

\begin{eqnarray}
x&=&-\frac{mC_1}{k}\exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}-\frac{mg}{k}t+C_2 \tag{4}\\
0&=&-\frac{m}{k}\frac{mg}{k}\exp(0)-0+C_2\\
C_2&=&\frac{m^2g}{k^2}
\end{eqnarray}

 

これらの定数を一般解に代入すると特殊解になる。

 

速度

\begin{eqnarray}
v&=&\frac{mg}{k} \exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}-\frac{mg}{k}\\
&=&\frac{mg}{k} \left[ \exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}-1 \right]
\end{eqnarray}

 

位置

\begin{eqnarray}
x&=&-\frac{m}{k} \frac{mg}{k} \exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}-\frac{mg}{k}t+\frac{m^2g}{k^2}\\
&=&-\frac{m^2g}{k^2} \exp{\left(-\frac{kt}{m}\right)}-\frac{mg}{k}t+\frac{m^2g}{k^2}
\end{eqnarray}

 

何が言いたいか

同じような微分方程式から生み出されたにもかかわらず、導かれた速度や位置の式は空気抵抗の有無で大きく異なっている。次回これらの運動をグラフにプロットし、本当に似た運動を示しているのか確かめる。