A4の宇宙

数学と物理をA4ノートに収まる範囲で。

指数関数の微分

指数関数y=a^xを、変数x微分したい。微分の定義に従って代入する。

\begin{equation}
y'=\lim_{h \to 0}\frac{a^{x+h}-a^x}{h}
\end{equation}

 

ここから指数関数の性質を用いて式を変形していく。まず右辺をa^xで括る。

\begin{eqnarray}
y'&=&\lim_{h \to 0}\frac{a^{x}(a^h-1)}{h}\\
&=&a^{x}\lim_{h \to 0}\frac{(a^h-1)}{h}\\
\end{eqnarray}

a^xhに関係ないので、 \displaystyle \lim_{h\to0}の外側に出せた。

 

つまりy'a^xに何か係数がかかった形になる。もしこの係数 \displaystyle \lim_{h \to 0}\frac{(a^h-1)}{h}が1に等しければ、y'=a^xとシンプルに書けるのでうれしい。

 

ではaがいくつの時に  \displaystyle \lim_{h \to 0}\frac{(a^h-1)}{h}=1が成り立つだろうか?

 

 \displaystyle \lim_{h \to 0}があると式変形しづらいので一旦無しで考える。

\begin{equation}
\frac{a^h-1}{h}=1\\
\end{equation}

 

両辺をh倍する。

\begin{equation}
a^h-1=h
\end{equation}

 

両辺に1を足す。
\begin{equation}
a^h=h+1
\end{equation}

 

両辺のh乗根を取る。 

\begin{equation}
a=(h+1)^{1/h}
\end{equation}

 \displaystyle \lim_{h \to 0}を復活させる。

\begin{equation}
a=\lim_{h\to0}(h+1)^{1/h}
\end{equation}

 

この式の右辺は結局ネイピア数eの定義に等しい。つまり a=e=2.718 \cdotsの時に

\begin{equation}
\underline{y'=e^x}
\end{equation}

が成り立つ。

 

任意の底を持つ指数関数の微分

この結果から任意の底を持つ指数関数も微分できる。eでない底を持つ指数関数を考える。

\begin{equation}
y=a^x
\end{equation}

 

両辺の自然対数を取る。

\begin{eqnarray}
\ln{y}&=&\ln{a^x}\\
\ln{y}&=&x\ln{a}\\
\end{eqnarray}


両辺をeの指数とする。

\begin{eqnarray}
y=e^{x\ln{a}}
\end{eqnarray}

指数関数の底をeに変換できた。

 

yx微分すると、e^xと合成関数の微分を用いて、

\begin{eqnarray}
y'&=&(\ln a) e^{x\ln{a}}\\
&=&a^x \ln{a}
\end{eqnarray}

底をaに戻して微分が完了した。