A4の宇宙

数学と物理をA4ノートに収まる範囲で。

対数関数の微分

対数関数 y=\log_{a} xを、変数x微分したい。微分の定義に従って代入する。

\begin{equation}
y'=\lim_{h \to 0} \frac{\log_{a} {(x+h)}-\log_a x}{h}
\end{equation}

 

ここから対数関数の性質を用いて式を変形していく。

\begin{eqnarray}
y'&=&\lim_{h \to 0} \frac{\log_a \left( \frac{x+h}{x} \right)}{h}\\
&=&\lim_{h \to 0} \frac{\log_a \left( 1+\frac{h}{x} \right)}{h}\\
&=&\lim_{h \to 0} \log_a \left( 1+\frac{h}{x} \right)^{\frac{1}{h}}
\end{eqnarray}

 

ここで新たな変数\displaystyle t=\frac{h}{x}を導入し、hを消去する。h=txと書ける。また、 h \to 0のとき t \to 0である。

\begin{eqnarray}
y'&=&\lim_{t \to 0} \log_a \left( 1+t \right)^{\frac{1}{tx}}\\
&=&\lim_{t \to 0} \frac{1}{x} \log_a \left( 1+t \right)^{\frac{1}{t}}\\
&=& \frac{1}{x} \lim_{t \to 0} \log_a \left( 1+t \right)^{\frac{1}{t}}\\
\end{eqnarray}

対数の性質を用いて \displaystyle \frac{1}{x}\limの外に出せた。

 

すなわち、y' \displaystyle \frac{1}{x}に何らかの係数がかかった形になる。もし、この係数  \displaystyle \lim_{t \to 0} \log_a \left( 1+t \right)^{\frac{1}{t}}が1に等しければ、 \displaystyle y'=\frac{1}{x}とシンプルに書けるのでうれしい。

 

係数 =1が成り立つのは、対数の底と真数が等しい時、すなわち \displaystyle a= \lim_{t \to 0}{(1+t)^{\frac{1}{t}}}の時である。実際にエクセル等で右辺を計算すると、 \displaystyle \lim_{t \to 0}{(1+t)^{\frac{1}{t}}}=2.71828\cdotsという一つの無理数に収束する。

 

つまり対数の底aa=2.71828\cdots=eの時、係数は1となり、 \displaystyle \underline{y'=(\log_e x)'=\frac{1}{x}}と書ける。この時の底eネイピア数と呼ぶ。

 

また、eを底とする対数を自然対数と呼び、 \log_e xを省略して \ln xと書いてもよい。

 

任意の底aを持つ対数関数の微分

対数の底の変換を用いれば、e以外の底を持つ対数関数の微分も可能になる。もう一度 y=\log_a x微分を考える。

\begin{eqnarray}
y&=&\log_a x\\
a^y&=&x\\
\end{eqnarray}

指数関数として書き直した。

 

両辺の自然対数を取ると、

\begin{eqnarray}
\ln {a^y}&=&\ln {x}\\
y\ln {a}&=&\ln {x}\\
y&=&\frac{\ln {x}}{\ln {a}}\\
\end{eqnarray}

\log_a {x} の底をeに変換出来た。

 

\begin{eqnarray}
y'&=&\frac{1}{\ln {a}}(\ln x)'\\
&=&\underline{\frac{1}{x\ln a}}
\end{eqnarray}

任意の底aを持つ対数関数も微分できた。