A4の宇宙

数学と物理をA4ノートに収まる範囲で。

余弦定理の証明(鈍角に対向する辺の場合)

概要

任意の \triangle ABCにおいて、角Cに対向する辺cの長さを \cos Cを用いて表し、以下に表される余弦定理を証明する。

 

\begin{eqnarray}
c^2=a^2+b^2-2ab \cos C
\end{eqnarray}

 

導出

 \angle Cが鋭角の場合を前回やったので、今回は図のように、鈍角の場合を考える。 

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Aから辺aに垂線を引き、補助線としたいが、鋭角の時と異なり辺aとは交わらない。そこで下図のように辺aを延長し、補助線同士の交点をDとする。

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 \angle \pi-Cと辺bを用いて、上図のように CD=b \cos (\pi-C) AD=b \sin (\pi-C)がわかる。また、 BD=a+CDなので BD=a+b \cos (\pi-C)と表せる。

 

 \sin(\pi-C) \cos(\pi-C)\piが邪魔なので消去したい。下に角度 C\pi-Cの関係を図示する。

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これらの図を比較することで、 \sin(\pi-C)=\sin C \cos(\pi-C)=-\cos Cであることが分かる。

 

\triangle ABDcを斜辺とする直角三角形であるので、三平方の定理より以下の関係が成り立つ。

\begin{eqnarray}
c^2&=&[b \sin (\pi-C)]^2 +[a+b\cos (\pi-C)]^2\\
\end{eqnarray}

 

 \piを除去し、右辺を整理する。

\begin{eqnarray}
c^2&=&(b \sin C)^2 +(a-b\cos C)^2\\
&=& b^2 \sin^2 C+a^2-2ab \cos C +b^2 \cos ^2 C\\
&=&a^2+b^2(\sin ^2 C+ \cos ^2 C)-2ab \cos C\\
&=&a^2+b^2-2ab \cos C\\
\end{eqnarray}

 

Cが鈍角の場合にも余弦定理が導かれた。

 

また、 Cが垂直の時、余弦定理は三平方の定理と等しいので証明済みである。そのため、任意のC余弦定理が成り立つことが導かれた。